

HOW TO MAKE SOUND EFFECTS
効果音を探すのをやめ、
あなた自身で効果音を作ってみませんか?

THEME クルマのエンジン音を再現!~実験編~
今回、車のエンジン音を再現することに初挑戦いたしました。もともと興味は持っていたのですが、再現するのが大変だというお話を経験者の方から聞いていたのもあり、なかなか手を出せませんでした。
そしてやってみた結果、「本当に大変!!」ということが身にしみて感じました。(笑)今回は、ゲームの中で使われることを前提とし、実験編として「軽自動車のエンジン&排気音を入力に併せてなめらかに表現する」過程をご紹介します。
エンジン音&排気音を録音する



まずは実車のエンジン音が必要なので、自宅にある軽自動車を題材に以下のポイントで録音を行いました。
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エンジンルーム
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マフラー
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車内
エンジンルームでは、エンジンの作動音やエンジンルームでの機械系作動音を録音し、マフラー付近で低音の効いた排気音の録音をしています。また、車内の音も録音しました。レースゲームではコクピット視点と俯瞰視点を切り替えることが多いので、サウンドも対応できる形を前提として試しています。
また、ここではギアをニュートラル(パーキング)にいれてエンジンをふかす、いわゆる「空吹かし」という状態で録音を行いました。本当は走行中の負荷がかかった状態のエンジン音を録るのが最も再現度が高いのですが、公道を走っている最中に録音することは危険ですしノイズも多く、なにより回転数を維持しながら公道で走ることは現実的に難しいからです。
実車を扱った最近のレースゲームではこれを実現するために「シャシーダイナモ」という装置を使うそうです。ローラー装置の上にクルマの各タイヤを載せ、その上で走行することでクルマ自体を進めることなく様々なテストが出来るということです。(家でランニングができる健康器具みたいですね(笑))クルマのテストのためにある装置らしいのですが、様々な状況のエンジン音を録音するのにもうってつけですよね!
ここではこうした負荷のかかった音ではなく、「空吹かし」のエンジン音で録音を進めていくことにします。
1000回転ずつ維持したループ音を録音する
セッティングを終えたらいよいよ録音です。録音は、「1000回転」「2000回転」「3000回転」「4000回転」の各回転数を維持する音、つまりループ音を録ることが目的です。なぜならクルマのエンジン音をゲームで再現するには、単純に「ブーン!」と吹かした音ではユーザーの入力に合わせてエンジン音を変化させることが出来ないからです。
動的にエンジン音を変化させるためには、一定の音程を維持したループ音に対してピッチ変化を与えるのが有効な手段の一つです。アクセルを調整して回転数を維持した状態でエンジン音を録音します。

各録音ポイントで収録したサウンドがこちらです。
▼エンジンルームの録音
▼排気音の録音
▼車内の録音
いかがでしょうか?特に車内と車外で顕著に音の聞こえ方が違いますよね。また、エンジンルームの音に比べ排気音のほうが低音の効いた迫力のある音がしています。今回はコクピット視点のエンジンサウンドと俯瞰視点のエンジンサウンドを作るため、エンジンルームと排気音の2つ を混ぜたモノを俯瞰視点のサウンドとして使ってみます。
ループ音の切り出し
録音が終了しましたので回転数を維持した区間を切り出して、短いループ素材を作ります。

各回転数が安定したところが上記のマークした部分になります。この区間を編集して短いループ素材にしたのがこちらです。
▼俯瞰視点用エンジン音 1000回転ループ音
▼俯瞰視点用エンジン音 2000回転ループ音
▼俯瞰視点用エンジン音 3000回転ループ音